* ACT.1 『 An encounter with the girl whom I grieved, and suffered 』







小さな人形師の家の前に一人の女性が立っている。

ふわっとしているクリーム色の髪に珍しい橙色の瞳。
年は二十歳に近いぐらいだろう。

まるで引き寄せられたかのようにその家の前にいた。



「こっちの方に別宅を立ててから街にくるのは久し振りだわ…」



引っ越しの作業に追われていたこともありなかなか移り住む場所を見ることができなかった。

だが、丁度買い物をする予定があり外にでたのだ。

あと、小さな路地に入ったりして見れなかった場所までの探索をしていた。


そうしたらなにか不思議な雰囲気がするこの人形の家にきたのだ。

ちなみに女性…は一緒に来た青年…レインをほったらかしたままで。



「……まさか…ね…だけど…」



昔懐かしい…心地よい気持ちがの体に浸透していく。
とくんっ…と波打つ鼓動がの手を扉にかけさせた。













扉を開けると数々の人形が微笑んでいた。
作った人がどれだけ技術があったか見ればわかる人形が沢山。



「すごいわ…」



が人形に目を奪われているとカウンターのほうから声が聞こえる。



「どうされました?」
「あ…人形師…!!」



つい大きな声になってしまった。
そこにびくっとしていたががなんでもないというと遠慮しがちで微笑んだ。



「そこの人形達はおじいさんが作ったんです」
「…あなたじゃなくて…?」
「…私は人形を作るのを止められていて…」



すっと目を細める。
確かに彼女に作らせるのを止めたおじいさんは正解だったかもしれない。
…精霊と会話ができてしまうから。



「あ…紹介がまだだったわね…私は・ハーヴェルよ」

「…!?ハーヴェルさん…ってあの…」



戸惑ったようにを見る。
このロンドンにおいてハーヴェル家はかなり位の高い貴族だ。
なにより市民の格差をいつも気にしていて寄付をしている。
そしとそこには一人娘がいるという。
その人は皆から【姫】と崇められている。

その人物かもしれない人が者前にいる。



「まぁ…わからないけど…多分…」
「私はハンナです!…凄く色々な方に尊敬されてますよね!」

「そう…かな…」



の脳裏には一人の影が過ぎる。
自分が尊敬している…父親。
父親の存在があったからこそハーヴェル家があったのだから。



「私も人形を作ったことがあるの…事情がちょっとね…」
「そうなんですか…?」



ハンナと話しているとますます何か暖かい感じがする。

そしていろいろ話してみると似たようなところがいっぱいあった。
ハンナは人形屋のところの娘と言われて皆から怖がられていた。
も大富豪の家柄であったりするせいか友達がなかなかできなかった。

気が合いながら話していると店の扉が大きな音を立てながら勢いよく開いた。

何事かと思い二人が視線を集めると…



…いい度胸してるな…俺に黙ってフラフラするとは…」
「レ…レイン…」



そこに立っていたのは少し灰色が入っている黒髪の男性。
瞳はと同じ橙色。
なにより長身で綺麗な顔立ちをしていた。

だがその顔にはうっすらと怒りが見える。

それをも感じ取っていたのか引きつった笑いをしながらレインに近付く。



「ご…ごめん…不思議な雰囲気がする人形屋があったからつい…」
「つい…で行動されるこっちの身にもなってもらいたいがな…」
「ぅ゛…」



レインが凄い剣幕で説教していると思ったらいきなりハンナのほうを見る。
鋭い眼光で見られハンナはびくりと肩を震わせた。



「…お前はに近付かないでもらおうか。…シャムロックの力を受け継ぐ人形師…」


「ぇ…」



を背中に隠しながらもその目線はハンナを逃がさない。
なぜ敵意を向けられなければいけないのかハンナにはわからなかった。



「あ…あの…」
「…精霊人形が一体ここにいるようだな…」
「レインっ!!」



後ろに隠れていたがレインの服を引っ張る。
弱い力だったがレインをハンナから目を逸らすことができた。
こちらを向いたレインの顔はハンナに向ける顔と全く違う…優しく慈しむ表情。



「ハンナにそんな顔を向けないで!…怯えちゃうっ!」
…お前もお前だ!…なぜ…」
「…何かに引き寄せられたみたいなの…」



がぼそりと小さな声で囁くとレインはふぅと溜め息をついた。
何か引き寄せられるものがある…それはちゃんと理由になっている。
レインも何かを感じ取ってここにきたのだから。



「…まぁ…いい。…用は済んだのか?帰るぞ」
「…もともと用があったわけじゃないけど…」



レインの言葉に渋りながらもレインの背中を押してハンナに振り向いた。
さっきのこともあってかの顔を見るとビクッと震えた。



「ごめんね?うちのレインが…気にしないでね?」
「うん…」
「…また…来てもいいかなぁ?」



小さく呟いた言葉にハンナは嬉しそうな顔を、レインは一瞬渋る顔をした。
それに気がついたのはだけだったが、あえて無視をして遠慮しながら゛ダメ…?゛と尋ねた。
それに答えるかの用にハンナは首を横に振った。



さんなら歓迎します!」
「ありがと…今度はこの怖いお兄さんを置いて来るから!」
「おい」



がばしっと背中を叩きながらいうと顔を少し歪め悪態を付きながらも渋々外にでていった。



さん…」
「ん?何?」
「レインさん…でしたよね?なぜ…この家に精霊人形がいることがわかったんですか?」
「あ…」



(そういえばレインが口を滑らせたっけ…)



「私が人形師だったって話をしたじゃない?多分、ハンナが人形師だとわかって何かしら勘でいったんじゃないかなぁ?」



自分でも下手な言い訳だと思う。
だが、易々と理由を話すわけにはいかなかった。

ハンナも気にしないような素振りを見せて店をでるを見送った。


貴女が全ての精霊人形に出会ったら…

私達のこともきっと…













2007/10/17



『 An encounter with the girl whom I grieved, and suffered 』
和訳:嘆き苦しんだ少女との出会い