* ACT.19 Mars





東の宿屋にこつこつと階段を上る音が響く。
長身の彼が刻む一定な音が宿屋に反響する。

自分の部屋のドアノブに手をかけたときにふと向かいにある部屋を見る。
固く閉ざされているドアは悲しさを堪えているように思えた。

彼・・・ディアスの瞳が細くなりさっきのことを思い出す。



『ディアスには関係ないじゃない!!ほっといてよ・・・っ・・・』
・・・』

『ディアスはレナがいるじゃない・・・私なんて・・・』



が自分に好意を持っていたことはわかっていた。
これは自惚れではないと思っている。
現にレナに散々言われてきたことだ。
・・・もちろんディアス自身ものことを守りたい・・・大切な女だと思っている。

しかし、長く離れていた時間が素直にさせないらしく、ディアスももすれ違うことが多かった。
こんなふうに再会を果たしたのにそれも見事に険悪な雰囲気で終わってしまった。

それに最後のの泣き顔・・・。
目に焼きついたその光景はなかなかディアスの頭から消し去ってはくれない。



軽く首を振り部屋に入り服につく剣のベルトをはずしていると、レナが部屋に入ってきた。
・・・さっきにあった時点ではもう彼女はこの宿屋にいなかったのだ。
仲間を説得しにいっていた。

だが、ディアスが見てみると彼女の顔には笑顔はなかった。
ただただ俯いてベットに腰掛けた。

そのレナの様子にディアスは何があったのかを即座に気がついた。


(おそらく反対されたのだが・・・クロードとかいう奴に)



「現実は自分の思ったとおりにならないものだとわかっただろう・・・」



説得をするといって出て行ったレナ。
だが、最悪の形になってここに戻ってきてしまった。
ディアスはそんなレナを気持ちをわかっているつもりでそう声をかけた。

その言葉に俯いていたレナの手はきゅっと締められた。



「いいの・・・私があなたと一緒に行くから」
「レナ!?」

「足手まといになんかならない・・・一緒にいきたいの」



眉を顰めるレナの言葉に諦めたのかディアスはその横に座りレナの頭に手をのせる。
くしゃっと撫でた頭に”わ・・・”といいながら照れる。



「俺がダメだと言ってもついて来るつもりだろう?レナが一度言い出したらきかないくらい承知しているさ。
だったら余計なことは考えずに体を休めておけ。明日は早いぞ」



そう声をかけるディアスに赤く顔を染めつつ”ん”と頷いた。
だが、さらにレナは口を開いた。



「そういえば・・・クロードの方にがいなかったんだけど・・・」
「・・・」
「宿屋は東と西にしかないって聞いたから・・・もしかして・・・」

「・・・はこちらの宿屋に泊まっているらしい」



ディアスがそういった瞬間レナの顔がぱぁっと明るくなる。



「だったら、も一緒に誘っていきましょう!だって心配しているはずだし・・・」
「俺がもう誘ってみたが・・・断られた」
「え、ディアス・・・にあったの・・・って断られた!!?」



の気持ちに気付いているレナはその答えに信じられないといった顔を見せた。
だが、ディアスを見てみると無表情ながら悔しそうに思っているのをレナはわかった。
・・・小さい頃から一緒にいたのだからディアスの気持ちぐらいわかる。



「その様子だと・・・なんかあったの?ディアス」
「話の時に俺が行くことを反対していた術師がいたよな」
「うん・・・あのディアスのことをちっともわかってない人でしょう?」
「・・・はあいつと共にいくらしい・・・」

「!!?なんで、ディアスとのことを断ってその人と・・・!」



これは言うか言わないか迷ったが結局告げるほかなかった。
・・・口論になってを泣かせ今は部屋に閉じこもっていると。

その話を聞くとたんレナの表情がどんどん不機嫌になっていく。



「まったくの誤解じゃない!!だって・・・」



レナがディアスのことを思うのは兄として。
異性として・・・みなかったことはないとはいえないが、の存在が大切だ。
ディアスものことを大切に思っていることをわかっていたレナは、応援しようと思ったのに。

今回のレナの行動はを追い詰めることしかなかったようだ。

そう思うとじわっと涙が溢れてくる。



「ごめ・・・私がいけないんだよね・・・」
「レナ」
「だって、私がディアスのほうに・・・クロードと喧嘩なんかしなければっ!!」
「後悔をしてるのならば、あいつらに謝って来い」



ディアスの少し怒った声がレナの涙を止めた。



「今回とすれ違ってしまったのは何もレナのせいじゃない」
「でもっ・・・」
「お前はそう思って行動した。俺のことが心配だから行動したみたいだしな」
「・・・だって・・・」
だって頭に血がのぼってああ言ってしまっただけだ。レナのことを泣かせるためではない」



確かにレナの存在がが思うディアスとの間に何かしら亀裂が走ったのかもしれない。
だが、それはただ単に考えなしでディアスにぶつけてしまったこと。
本当にレナのことが嫌いならば最後に泣いて去ったりしない。
自分が言った言葉に少なからずも責任を感じているんだろう。
それはさっき見つめていた部屋の気配からも感じ取れたこと。

レナは泣きやんだようでふにゃっと笑った。



「私はに嫌われたくないの」
「あぁ・・・」
「だから私がにとって悲しませてしまう存在なら凄く嫌なの・・・」
「・・・」
「今回のこと、絶対誤解を解くからね!!ディアス!!」
「あ・・・あぁ・・・?」



密かにぐっと拳を握るレナをただ呆れた顔で見つめるディアス。

明日、全てが終わった後に誤解を解こう。

レナとの間にしこりを残させないために。



が泣きつかれて眠ってしまったあとに開かれたディアスとレナの対談ことであった・・・。








# あ と が き #

はい。
この二人をやっぱり登場させないとね(ぇ)
どうなっていたかを書きたかったからかかせてもらいましたーvv
ディアスSideはどうなっていたとか!!
さんは泣きつかれて寝てしまったが、
レナはディアスと一緒の部屋なので・・・。
大体多分疑問に思って帰ってくるかもしれないのでv
二人は本当に思いあってるのにすれ違い。
しかも思いあっている中で誤解を生ませてしまっているレナはかなりの罪悪感があると思ってます(汗)
私の今回のレナのポジションは【妹的存在・・・だけど気付かせる存在】でいきたいので(ぉ)
ディアスとさんの間をやってくれるのはこの人しかいないと思うのでっ!
・・・でももうちょっとしたら恐ろしい子がでてきますからー。
さん大好きな子供が(ぉ)




2007/11/13